PROJECT DATA
物品寄附による高校教育への企業参画
岐阜県のものづくりを支える人材を育てるため、
地域のトップメーカーが企業版ふるさと納税を介し
実業系高校の教育設備投資に貢献する仕組みを創出
- エリア
- 岐阜県下の公立高校(羽島郡笠松町・関市・可児市・美濃加茂市ほか)
- 対応期間
- 2024年~
- 事業内容
- 企業版ふるさと納税マッチングサービス「CoLoRs」/物品寄付マッチングサービス「ITEMs」
地域の概要
自動車、航空機、工作機械
製造業が牽引する岐阜県の経済
岐阜県は、日本のほぼ中央に位置しており三大都市へのアクセスもよい地域にあります。
隣接する愛知県ではトヨタ自動車をはじめとした自動車産業が盛んな影響で、岐阜県内にも関連企業が数多く存在。
また、岐阜県各務原市には現存する最も古い歴史を持つ飛行場があることから、航空宇宙産業が発展。川崎重工業、三菱重工業などの国内主要航空機メーカーが中部圏に立地しています。

自動車、航空機、工作機械といった製造業が岐阜県のトップ産業であり、県内総生産における製造業の特化係数(=ある地域のその産業が、全国の比率と比べてどれだけ多いか少ないかを示す指標)は、全国平均の約2倍にもあたります。
伝統ある公立の工業高校が担う人材育成
製造業が地域経済を牽引している岐阜県内においては、2025年に創立100周年を迎えた県立岐阜工業高等学校をはじめとした実業系の高校が複数あり、古くからこの国のものづくりを支える人材育成を担ってきました。

課題
即戦力となる人材を育てているにも関わらず、
十分な設備更新ができない公立高校
日本の大学進学率は年々増加しており、製造業に特化してきた岐阜県においても近年はあらゆる高校で大学進学率が伸び、50%を超えています。
そうした状況のなか少子化もあいまって、特に実業系高校はかつてに比べ定員が減少。
一方で、伝統あるがゆえに学校設備が古く、こうした公立の実業系高校では更新の時期にあっても再投資すべき十分な予算が確保できず、実習の要となる設備の更新に困っているのが現状でした。
解決策
ものづくりの先端を走る
力ある企業に参画を要請

製造業が強い岐阜県。特に航空機関連では岐阜・愛知の2県でおよそ全国の50~70%の供給シェアを持ち、地場産業といえるでしょう。
当社が上述の課題について、最初に相談を受けた岐阜工業高校は全国で唯一の「航空機械工学科」がある高等学校。一般的には専門学校など高等教育で勉強する航空宇宙工学の授業を、高校生が学ぶことができる、極めて貴重な学校です。
航空機メーカーの現場においては、部品製造のモデリング実習として、CATIA(キャティア)というCAD/CAM(キャド/キャム※)を使います。3次元での設計・解析・製造の機能が統合されたソフトウェアで、世界中の自動車や航空機など製造業の現場で広く採用されている必須ツールです。
※CAD(Computer Aided Design)コンピューターで設計するためのソフト
※CAM(Computer Aided Manufacturing)CADで設計した3Dの部品情報を工作機械で製造できるようにするツール
当時の岐阜工業高校は、1世代前のCATIA、航空機産業の現場の人々が使っているものより古い、型落ちのシステムで実習せざるを得ない状況でした。
即戦力の人材を企業へ供給する工業高校としては、なんとか最新のシステムで実習を行いたいという強い希望を持っていました。
そこで当社が企業版ふるさと納税による寄附を仲介したのが、航空機のほか自動車、医療等幅広い分野に高精度のボルト・ナット等を製造・販売する「メイラ株式会社」。愛知県名古屋市に本社があり、岐阜県関市内には4工場を構えます。
未来の人材への投資として、
企業から実業系高校へ「物品寄附」で支える

メイラ株式会社から岐阜工業高校へ 贈呈式
メイラ株式会社へ岐阜工業高校の状況を提案したところ、ものづくりの先端を走る企業としては、岐阜県のものづくりを支えるためにぜひ寄附で支えたい、と温かく応じていただき、最新のCAD/CAMシステム21台の贈呈が実現。これが2024年度の実績です。
一般に寄附というと金銭を思い浮かべますが、企業版ふるさと納税には物品寄附という仕組みがあります。例えば自社製品や、他社製品だが自社の業務で使っているもの、自社に関連するものなど、そうした物品で寄附ができる仕組みを活用した課題解決方法です。
このスキームを展開することで、現在4件の事例を創出しました。
成果
メイラ株式会社→岐阜工業高校
・CAD/CAMシステム端末21台(約1,900万円相当)
2016年、文部科学省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)に指定された県立岐阜工業高等学校(羽島郡笠松町)。敷地内に実習施設「モノづくり教育プラザ」を整備し、2017年度から一期、2018年度から二期の運用を開始。
この教育プラザのCAD/CAMシステムの大規模な設備更新が、メイラ株式会社の物品寄附によって「まるっと」実現しました。
CAD/CAMのモニター台の上に取り付けられている贈呈プレートには、企業名と「空へ その先の宇宙へ」のフレーズ。生徒の皆さんはこのプレートに見守られながら日々学びを深めています。
オークマ株式会社→岐阜工業高校
・自社のCNC旋盤など+金銭(合計約2,500万円相当)
その後、企業版ふるさと納税の物品寄附による高校教育への企業参画スキームについて当社が話をした際に、応えていただけたのがオークマ株式会社。愛知県丹羽郡大口町に本社を置く、世界の工作機械のトップメーカーです。
自社の工作機械(マシニングセンタ)は岐阜工業高校に実習用工作機械としてすでに導入されていましたが、「さらに教育の深みが増すように」と、高校の創立100周年を祝い、金銭とセットで今回あらたに「CNC旋盤」を寄附していただきました。
贈呈式には、翌年度オークマ株式会社に入社予定の在校生も出席。人材育成の現場と、採用先のトップメーカーとのつながりが実感されました。

ユーエスウラサキ株式会社→関商工高等学校
・シャーリングマシン等(約1,300万円相当)
ユーエスウラサキ株式会社は、工作機械の板金部分を製造するシートメタル事業を展開。岐阜市に本社、各務原市内2か所に工場を構える企業です。
同社は、設立40周年の記念として、関市立関商工高等学校(関市)へ自社の事業領域である、板金加工で用いる「アマダ」製のシャーリングマシン(金属板の切断機)など約1,300万円分の物品寄附を行っていただきました。

株式会社 愛工舎
→可児工業高校 ・半導体加工機
→加茂農林高校 ・乗用草刈り機
+金銭(計約1,000万円相当)
株式会社愛工舎は、主に半導体のコンタクトプローブ(通電検査ピン)を製造しています。直径0.0025mmクラスの極細部品も扱う超微細加工・精密加工を得意とするメーカーです。
本社は名古屋市ですが、岐阜県の中南部に位置する加茂郡七宗町に工場があります。この七宗工場の周辺にある実業系高校へ“生徒の目に触れるものを寄附したい”との想いで、県立可児工業高等学校(可児市)へは半導体の切断加工機を、県立加茂農林高等学校(美濃加茂市)へは生徒が使う草刈り機をプレゼント。金銭と併せて約1,000万円分の寄附をしていただきました。

高校・生徒―企業がWin-Winになる
全国初のスキーム創出
これらの事例は、自治体の一般財源では十分な設備更新ができずにいた公立高校への最新設備導入を企業版ふるさと納税の仲介によって実現したもの。
近年、実業系高校の生徒のことを指して「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」と表現されることもあるように、非常に高度なものづくり人材を育てる機関を支えることは、企業にとっても将来を見据えた長期的な採用環境の整備となります。
学校側は負担なく最新設備を導入でき、企業側は「地域の人材育成への貢献」という社会的価値を発揮しつつ、企業版ふるさと納税による税制優遇を同時に得られる、官・民・学「三方よし」の支援モデル。
全国をみても、当社(カンダまちおこし株式会社)だけがこうした寄附仲介を行っていると自負しています。
今年度以降も、岐阜県と更に情報交換を深め、より多くの事例を創出していきます。

