PROJECT DATA
創業100年の企業が、これからの100年を想う「太平の森 白川」設置と林業子会社の新設
木材加工機械メーカー太平製作所の夢を、白川郷へ繋げて 植林、さらには林業子会社を村内につくり
森林資源の循環サイクルを結ぶプロジェクト
- エリア
- 大野郡白川村
- 対応期間
- 2024年~
- 事業内容
- 企業版ふるさと納税マッチングサービス「CoLoRs」
地域の概要
世界遺産の合掌集落で有名な白川郷は
山林が96%を占める山村
岐阜県の西北端に位置する白川村。霊峰白山をはじめとする急峻な山々に囲まれ、村の面積のうち約96%を山林が占める典型的な山村です。
伝統的な合掌造りの集落が世界遺産に登録され、人口およそ1,500人の村に年間200万人を超える観光客が訪れており、住民の7割が観光産業に従事しています。

課題
白川村は四季折々の表情を見せる豊かな自然に囲まれ、森林率がなんと約96%になります。
天然林である広葉樹の森には、家具材としても活用されるブナ、ミズナラ、村民の生活文化と密接に結びついたトチノキをはじめとした樹々が自生しています。

一方、戦後には建材としてスギ、ヒノキなどの人工造林が進められ、30年経過した昭和50年代後半にはこれら人工林が間伐期を迎えましたが、林業の低迷期に入っていたため間伐や枝打ちといった必要な林業施業が滞りはじめました。
一般に、例えばスギは樹齢50年が木材として利用に適した時期であるといわれますが、村内には手入れの行き届いていない樹齢60年、70年の人工林が増えており、豪雪地帯として知られる気候や急峻な地形での作業の大変さ、材木の価格低迷、村の人口減少、高齢化、担い手の不足などの積み重なる問題から、村では林業はビジネスとして構築困難な課題とされてきました。
森林のバリューチェーン(価値連鎖)が壊れる
原材料の調達、製造、そして在庫管理や物流、販売を経て消費者へ届くまでの一連の流れをバリューチェーン(供給連鎖)といいます。
森林業でいえば、“川上に木こり、川中に木材加工、川下にハウスメーカー”という流れで、そのバリューチェーンつまり価値連鎖の仕組みがあって経済がぐるぐると回っていくはずです。
しかし、上述のように本来は木を育て木を伐り出す、白川村をはじめとした川上の林業の担い手がほとんどいない状態では、供給が無い川中のメーカーも製造業が立ち行かないようになり、川下へ供給するビジネスが近い将来に成り立たなくなる問題をはらんでいます。
解決策
これらの問題について、その解決へとつながる物語は、当社が株式会社太平製作所と白川村を結んだことからはじまります。

寄附を機に、白川村初となる企業の森を設置
太平製作所は、愛知県小牧市に本社を置く、木材加工機械(合板・集成材をつくるための機械)を製造する上場企業です。岐阜県可児市に、住宅建材事業を行うグループ会社も展開。
2025年に創業100年を迎えた歴史あるメーカーです。
当社(カンダまちおこし株式会社)は、村に酒蔵を創業する「白川村の蔵」プロジェクトにあたって、白川村へ企業版ふるさと納税で寄附金をつなぐ仕事を2023年に始めました。親会社である十六銀行の取引先企業に提案していくなかで、「関心があります。ぜひ白川村に寄附をしたい」と言っていただいたのがこの太平製作所。2024年の冬のことでした。
かねてから川上側の林業バリューチェーン(供給連鎖)が失われることを懸念していた太平製作所は、翌年に控える創業100周年を機に、マシーンメーカーとしてのみならず、林業のバリューチェーンそのものに参入したい、子会社のある岐阜県内のどこかで植樹・植林をして林業をはじめられればーーーそんな想いをお持ちでした。
太平製作所の全従業員が参加して
広葉樹1,000本を植樹
企業版ふるさと納税の寄附金額というと、一般的に数百万円の場合が大半で、これを一桁、二桁、大きな単位で白川村へ寄附してもらえるためにはどうしたら良いか、当社と白川村は以前から膝詰めで考えてきました。
そこで出たアイデアの一つが、植樹をすることができる適地の確保。白川村が管理する用地に、村内の道の駅の真向かいというアクセスの良い場所で約1ヘクタールの林がありました。皆伐再造林の途中で、皆伐を行って、再造林を待つ状態の更地でした。環境価値に意識の高い企業であれば、そこへ植樹をすることで寄附の価値を感じてもらえるかもしれない、と。
これを太平製作所側に伝えたところ、寄附と植樹が実現することとなりました。

白川村の森林はもともと広葉樹が自生する地域であるため、植樹はスギやヒノキではなく、広葉樹に植え替えることで人と多様な生物が共存しやすい森へと戻し、ひいては地域林業の持続性向上を図る思いも共有されました。
成果
白川村はじめての「企業の森」が誕生
2024年12月に白川村へ1億円の寄附をしていただき、2025年2月に岐阜県および白川村と森林づくりの協定を締結。「太平の森 白川」と命名された村内の敷地へ、同社の全従業員約150名が訪れ、2025年6月、創業100周年事業として3日間をかけ広葉樹の苗木1,000本の植樹が行われました。
これは白川村では初となる「企業の森」設置となりました。

このプロジェクトは、2025年度に第1弾が発行された国(農林水産省)が証明する「農山漁村振興への貢献活動に係る取組証明書」を取得。日本ではじめての50社のうちの1社として認められました。

さらに、太平製作所は白川村において林業子会社を2026年7月に設立します。
これは担い手不足だった村の林業の現状に、主体的に参画するプレイヤーそのものが生まれたということ。森林のバリューチェーン(価値連鎖)の拡大が期待されます。
林業子会社を拠点に、家を建て、居住者を獲得し、林業の担い手を育成すること。多くの観光客が訪れる白川郷の強みである集客力を生かした、観光客と森林をつなげる植樹植林・育林活動。林間栽培やバイオマス資源の活用による林業収益の安定化。そうしたさまざまなアイデアを実現し、持続的な実施体制を構築するため、この先も当社は引き続き伴走していきます。

