PROJECT DATA
長良川温泉・岐阜城下町エリアの
観光再生支援
伴走支援により、2億円以上の再投資が生まれる
- エリア
- 岐阜市
- 対応期間
- 2020年~(進行中)
- 事業内容
- 観光マーケティング(DMO)支援事業
地域の概要
年間30万泊の宿泊客を受け入れる
岐阜市の一大観光地
岐阜県の県都、人口40万人を有する岐阜市の中心部から約2km。
岐阜城がそびえ立つ金華山と清流長良川の自然に囲まれたこの地域は、長良川でとれる特産品の鮎を中心とした川に由来する食文化、1300年以上続く夏の風物詩「長良川鵜飼」、上流の美濃市で作られた和紙と川湊に引き上げられた材木を組み合わせて作られる「岐阜和傘」「提灯」等の和紙加工品をはじめとする伝統文化を育んできた地域です。
川湊に由来し美しい街並みを残す「川原町」、日本の温泉100選に選ばれる「長良川温泉」を楽しむ観光客で、コロナ前は年間30万泊の宿泊客を受け入れる岐阜市の一大観光地としてにぎわっていました。
課題
新型コロナウイルスの影響で
宿泊者数が減少
2020年に始まる新型コロナウイルスの影響で、長良川温泉の宿泊者数は2019年の30.5万泊から、2020年は14.4万、2021年は11.5万泊まで減少しました。また、地域の観光の目玉である鵜飼観覧船乗船客数も、2019年の9.1万人から、2021年には1.4万人まで減少しました。
コロナ下で地域としてどう生き残っていくか。地域の旅館・ホテルでつくる「長良川温泉旅館協同組合」は、地域全体の魅力・収益力を向上させるためのデータ分析や戦略策定など、DMO[Destination Management Organization]機能を実装するため「マーケティング委員会」を立ち上げました。
解決策
定例会議の毎月開催
十六フィナンシャルグループからは当社と十六総研[十六総合研究所]、地域連携DMOであるNPO法人ORGAN[ORGAN]が専門的な立場から助言を行う態勢を整備。市役所や観光協会、名鉄グループ各社も集まり、データを共有し議論する素地を作りました。
宿泊統計の月次化
岐阜市全体の宿泊統計は捕捉されていない中、長良川温泉は独自に全宿共通のデータを月次で収集する取り組みを開始しました。各施設の宿泊者数、申込みルート、個人・団体の別、食事の有無などを共有するようになり、各旅館・ホテルがこれまで自社のデータだけで判断していたものが、地域全体のデータをみて傾向を把握できるようになりました。
全宿共通の宿泊客対象アンケート※1の設定
宿泊客の属性[年代、出発地、情報媒体等]、観光消費額、満足度、リピート意向等を含む3,000以上のアンケートデータを取ることができるようになり、世代別のマーケティングに生かせる基礎データを共有できるようになりました。
1……アンケートはQRコードで電子的に収集。
ビジョン・コンセプトの共有
上記3つの取組みを進める中で醸成されたのは、「我々はこのエリアをどうしていきたいか」に関する共通認識。
共通認識をもてたことで、マーケティング委員会を通じて、2031年に向けたビジョン「清流長良川の恵みがはぐくんだアイデンティティを守り続けながら、常に新たな発見が生まれる、持続可能な温泉地へ」というビジョンが策定されました。
成果
観光庁の補助金を活用し
地域全体で2億円超の再投資が生まれた
マーケティング委員会による議論の醸成がコロナ下で進み、地域全体として高付加価値化と単価アップに取り組むという方向性で合意。
2021年度には観光庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の補助金を活用し、地域全体で2億円超の再投資が面的に生まれました。
主な取り組み
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長良川流域の土産物を扱う「長良川デパート」(運営:NPO法人ORGAN)が、床面積を5倍に増床して2022年3月リニューアルオープン。
- 長良川温泉の高級旅館「十八楼」(【公式】長良川温泉十八楼|岐阜県の老舗旅館|ベストレート保証 (18rou.com))が、当該補助金を活用し、長良川の景観を生かしたスイートルーム「湊」を新設。
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岐阜麦酒醸造が伊奈波神社、岐阜善光寺の参道に、当補助金を活用したクラフトビール醸造所「タップルームYOROCA」をオープン。
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岐阜市が直営する「鵜飼観覧船事業」が、当補助金を活用して高級観覧船の造船を行い、2022年5月に新船3隻を投入。